11月も2週目に入り、「京都非公開文化財特別公開」の開催も残り少なくなってきました。庭園でのご案内が中心となっていますが、美術館では伝狩野山雪筆「雪景山水図襖」が特別公開期間中のみの展示となります。泉坊書院で用いられていたこの襖は、通常なかなかご覧いただく機会がありません。どうぞお見逃しなく御覧くださいね。
今朝のSNSでもお伝えしましたが、京都の紅葉情報をみていると、色づきはじめのところから一部見頃のところがあるとのこと。松花堂庭園でも同様に、青もみじから少しずつ色が変わりはじめた木々もあれば、内園周辺の木々は真っ赤に色づいています。また椿の花もちらほら。紅葉と椿のどちらもお楽しみいただけます。色づきはじめた椿園で、椿の花も探してみてください!
さて、今回の作品紹介ブログでは、これまでにとりあげた作品とは少し種類の異なるものをご紹介したいと思います。「竹図(松花堂昭乗外題・箱書)」(個人蔵)です。
この「竹図」を描いたのは、伝 檀芝瑞。詳細はあまりわかっていませんが、墨竹図の画家として知られた中国・元時代の画家と考えられています。
では、松花堂昭乗とこの作品とは、どのような関係があるのでしょうか??
それは、この作品につけられた“外題”にあります。
この作品には清渓通徹の賛が書されているのですが、その賛の真偽を判断するにあたり、描かれた竹図についての昭乗の考えを知りたい、という江月宗玩の依頼に応じて外題を記したものとされています。
”外題(げだい)”とは、掛軸や巻子などの外側につける題箋のこと。様々な作品に外題が付されていますが、昭乗による外題として現在知られているのはこの作品のみとなります。静かな川の流れと共に描かれる「竹図」そのものも味わい深い作品ですが、それを昭乗が見て、鑑賞していたのだと思いながら見るのも、また違った楽しみ方ができるかもしれません。
昭乗は「能書」と知られ、自らも書の作品を残すとともに、清書の依頼も受けていました。さらに絵も描き、そして他の人の絵画作品に外題も記していたのです。いかにマルチで、色々な人との交流があり、そして文化的な知識を持っていたのかがわかりますね。すごい人だったのだなぁ…と改めて感じられる作品です。
こちらの作品も、前期期間のみの展示です。昭乗の書や絵画、そして、昭乗がじっくりと鑑賞したのであろう作品もぜひお楽しみくださいね。
*****
特別展「松花堂昭乗、書画のたのしみ-麗しき筆あと、愛らしき布袋-」HP→http://www.yawata-bunka.jp/syokado/event/#ev366
展覧会の感想や、美術館1階の布袋さんとの撮影コーナーでの写真など、ぜひ「#松花堂昭乗展」のハッシュタグをつけてSNSでシェアしてください!お待ちしております。
0コメント