12月最初の週末は、比較的陽ざしの暖かいお天気となりました。紅葉はそろそろ終わりに近づいてきましたが、あと一息楽しめそうな様子。15時ぐらいからぐっと冷え込んできますので、日にちも時間もお早めにご来園されることをオススメします!
さて、本日展覧会の関連イベントとして、特別講演会を開催しました。テーマは「松花堂昭乗、ピュアでキュートな書画のひみつ」。講師に近世絵画がご専門の美術史家・門脇むつみ氏をお迎えし、当館学芸員が聞き手になりながら昭乗の書画についてお話いただきました。
書家や茶人としてよく知られる昭乗が、いかに画技にも優れていたのか…ということを、今回展示されている作品を中心にたくさんの画像を提示しながら、わかりやすくご説明してくださいました。特に、先日のブログでもとりあげた「布袋図」(細見美術館蔵)の特徴に話がおよんだときには、会場中から「ほんとだ…」「確かに…」という声が聞こえてきたり、うんうんと深くうなずいておられる方がたくさんいらっしゃいました。
また話題は絵画だけにとどまらず、昭乗の麗しい筆あとが書された料紙装飾の話に。そのときには、そのあまりの美しさと、普段なかなか見ることのできない部分のスライドに、会場にいるみなさんが釘付けになっておられました。
そして講演会のあとは、会場を展示室へと移して、門脇先生と一緒に作品を観ることに。
講演会を聞いたあとだったこともあり、みなさん先生の説明を聞いたり、周りの人と意見交換をしたりしながら熱心に作品に見入っておられました。講演会にご参加いただきました皆さま、本当にありがとうございました!
では今回の作品紹介では、先生のお話の中でも取り上げられました「梔小禽図 松花堂画寄合賛絵巻のうち」(個人蔵)です。
今回のお話の中でも、昭乗が真体・行体・草体という絵のタイプを描き分けていた…という話がありましたが、この「梔小禽図」はそのうち、最もきっちりとした線で描かれる草体の絵にあたります。中国の宮廷画家の画風として知られる「院体花鳥画」に学んだことが知られているもので、昭乗の花鳥画のなかでも特に真体画としての特徴を有しています。
布袋さんにみられる可愛らしい雰囲気が「昭乗らしさ」だと思いがちですが、この作品のようなテイストの絵も描くことのできた昭乗。その描き分けられた雰囲気の幅広さには、本当に驚くばかりです。しかも、お茶もたしなみ、書にも優れ、和歌も詠み…と、とにかくマルチな才能を持っていた昭乗。一体どんな人だったのでしょう…
そんなことを、作品とじっくり向かい合いながら考えられる今回の展覧会も、残りあと1週間となりました。「まだ見てない…」という方は、ぜひこの機会をお見逃しなく!もちろん、リピート観覧も大歓迎です。
庭園茶室「梅隠」で開催中のガラス作品展「侘びのガラス」も好評開催中です。昨日の松花堂ブログにて詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!17日(日)までの開催です。(→松花堂ブログ)
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特別展「松花堂昭乗、書画のたのしみ-麗しき筆あと、愛らしき布袋-」HP→http://www.yawata-bunka.jp/syokado/event/#ev366
展覧会の感想や、美術館1階の布袋さんとの撮影コーナーでの写真など、ぜひ「#松花堂昭乗展」のハッシュタグをつけてSNSでシェアしてください!お待ちしております。
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