12月に入ったと思ったら、展覧会最終日まであと1週間をきりました。今朝は一段と空気が冷たく、また庭園の紅葉もかなり風に舞い、いよいよ冬らしくなってきました。朝の庭園でよく目を凝らしていると、苔や落ち葉についた露が霜になっているものも…だんだんと気忙しくなっていく季節ですが、ぜひ松花堂でほっと一息つきにきてくださいね。
作品紹介も終盤ということで、寒さに負けずに頑張っていきたいと思います!今回ご紹介するのは「大方広師子吼経」(京都国立博物館蔵)です。
「大方広師子吼経」は中国・唐時代に成立したとされている漢訳の経典で、その後日本に伝来しました。力強い楷書で書かれた本文は8世紀(奈良時代)のものです。
その経典がなぜ今回の展覧会に展示されているのか…それは、この経典の最後に書された極書(きわめがき)を昭乗が付しているからです。
昭乗はその極書のなかで、この経典の筆者を聖武天皇であると判じています。聖武天皇といえば、仏教を篤く信仰し、東大寺の大仏を造立したことでも知られている人物。それでは、なぜ昭乗はこの経典の筆者が聖武天皇である、と判じたのでしょうか…昭乗によればその理由は、東大寺・西大寺に伝わる聖武天皇の宸翰と突き合わせると、この経典の字が聖武天皇のそれと全く同じ様である、といいます。
在世時より能書家として知られ、絵も愛され、茶人としても名を成した昭乗は、書の鑑定をもすることができました。自らが作品を創り出すだけではない、違った一面も持っていたのですね。そんなマルチな昭乗はきっと、様々な方面の人たちからの信望もあつかったのではないでしょうか。昭乗の遺した作品の数々から、いろいろな人に慕われ、愛された昭乗の姿が浮かんできます。
そんな人望が伝わってくる昭乗の作品を一度にご覧いただけるこの展覧会も、10日(日)までとなりました。寒くなる一方でお出かけするのが億劫になる時期ではありますが、ぜひみなさまにご覧いただけたらと思います。ご来館、お待ちしております!
落ち葉はふかふかで、もふもふしています…!
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特別展「松花堂昭乗、書画のたのしみ-麗しき筆あと、愛らしき布袋-」HP→http://www.yawata-bunka.jp/syokado/event/#ev366
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